●無関心ではなく
小学校1,2年生くらいだったと思うのだけど。。
社会科の授業参観、工業社会についてでした。
「工業化が進んで、分業でものを作るようになりました。効率はよくなったけど、ものを最初から作る楽しみはなくなりました。」
先生が説明したあと、生徒に工業化は良いか悪いか、挙手させられました。
誘導尋問のような内容だったので、みんな「悪い」に手を挙げるのですが、私だけ「良い」の方に。
案の定先生に当てられて
「分業したほうがみんながその道のプロになるので良い」と答えた覚えがあります。
小学校1,2年生なのに、ませた回答をするものだから、後でいろんな人に褒められて大変でした。仕事に興味があって、父親に工場の仕組みを聞いていたのです。ひとつの技を研ぎ澄ませていくのは良いことだという意味だったと思います。
見渡す限り分業化が進んだ社会ですが、
作家さんのお仕事も例外ではないのだそうです。とっても意外なことに。
作品を作る素材集めは、専門の業者さんに頼っていらっしゃる作家さんがほとんどです。
陶の作家さんのほとんどは土を精製するプロの業者さんから土を仕入れていらっしゃるそう。
「最近ねーどうも土が変わっちゃって」と。
増田さんは昨年から苦戦することが多くなってきているのだそう。
しのぎを入れると、以前はみられなかった変化がおきて、思いどおりの作品に仕上がらないことがあるのだそうです。乾燥具合が微妙に変化している。ということは、業者さんの精製する土に変化がおきているのではないかと。
よい土は、実はかなり掘り尽くされているのだそうです。事実、有田にはほとんど良質な磁土が残っていなく、今は天草に産地が移っているとか。信楽も、良い陶土は少なくなってきていて、なかなか若手の作家さんには分けていただけないそう。掘り尽くされるのも時間の問題で、その後は中国に土を求めるしかないのでしょう。
掘り尽くされ役目を終えたイギリスの陶土採掘場には、バイオソフィアが建設されています。エデンプロジェクト、出来立てのころはアリゾナ砂漠のように岩や土がむき出した殺風景な風景に半透明多面体コロニーが建設されてシュールな風景だったのが、現在では粘土が水を含むようになって木が生えてきています。
ものが沢山あって、手に入りやすくて当たり前の世の中ですが、ものづくりの現場では事情がどんどん変わっているのですね。作り手と受けての関係も分業ですが、橋渡し役としては、作り手の事情にも理解を深めてまいりたいと思います。分業があたりまえだと、互いに無関心でいられます。無関心は次第に無感覚を生んで、「ものがあって当たり前、私のために働いてくれて当たり前」になってしまいます。それでは感謝の気持ちがなく、寂しい限りですものね。
増田さんの作品は2月に入荷予定です。どうかおたのしみに。ムーンライトしのぎのお茶碗は春っぽくて、新生活にぴったりですよ。
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